ほうずき能 のお知らせ

6月5日(日)、福岡市の大濠能楽堂での催し「ほおずき能」に舞囃子で出演します。

舞囃子(まいばやし)というのは、能の略式の上演形態の一つで、字の如く、お囃子の演奏とウタである謡(うたい)に乗って舞うものです。本式の能の見せ所をギュッと濃縮して、しかもシンプルに、時間的には20分程度の演目となります。さらにシンプルなのは仕舞(しまい)です。これは謡と舞だけで一場面だけを上演する形ですので、上演時間も3分から長いものでも10分程度の演目です。気楽にご覧いただける形式ではありますが、演者としてはその短い間に凝縮した舞台を作ることができるかどうか、力を試される緊張の場でもあります。

今回私は喜多流のみで上演されている「飛鳥川」という曲の舞囃子を勤めます。

奈良に現在も流れている飛鳥川の流域が舞台になっており、早乙女として天地の恵みを寿ぐ歌を歌い田植えする一人の女性が、生き別れた我が子と再会する物語です。子を思う心と早乙女としての歌や舞の面白さが融合するような舞台になれば、と思っています。

その他にも各流派の方々の仕舞や狂言の上演もあります。催しの最後はこれからの季節にぴったりの「杜若」の能がございます。観世流の女性能楽師、木月さんのシテで、地謡も女性陣でお勤めになる意欲的な番組です。

また会場の大濠能楽堂は大濠公園の一角にあり、お散歩にもとても良いところです。昨年リニューアルオープンしたばかりの能楽堂にもぜひお運びください。