このサイトについて

インターネット上の数多くの情報の中から「ひろしま古典芸能ナビ」をご覧いただき誠にありがとうございます。

このサイトでは広島県ゆかりの古典芸能のプロ奏者・演者を紹介しています。同時に、広島県や近隣地域で「古典芸能を鑑賞してみたい」「習ってみたい」「イベント等に出演してほしい」「古典芸能について質問したい」という皆様へわかりやすく情報提供し、案内人が古典芸能全般に関してのあらゆるご相談に秘密厳守で応じます。

*古典芸能(=伝統芸能)とは、日本で近世以前に創始された雅楽・能楽・歌舞伎・文楽などの芸能と、演奏される音楽(邦楽)の総称です。古典芸能は近代以降も常に新たな作品や表現方法が生み出されています。このサイトではそういった近代~現代の作品まで含めて「古典芸能」と呼んでいます。

「ひろしま古典芸能NAVI」案内人がいま思うこと

ここからは、広島で長年、邦楽に関わる活動を続けてきた当サイト案内人が古典芸能の価値と役割についていま思うことをお伝えしたいと思います。

1. 自己理解を深め、他者を理解する

国際性と平和について

「国際」=「海外、外国」と反射的に思い浮かべてしまう人が圧倒的に多いのではないでしょうか。しかし本当の「国際性」とは、外国語が堪能で外国文化に通じているだけでなく、自国や自分の住む地域の文化を理解し誰かに伝えられることだと私は思います。自己理解を深めることで他者を理解し、その結果、お互いが大切でかけがえのない存在だと気づけるからです。

このように分け隔てのない優しい気持ちこそ、真の国際感覚のベースになると思います。とくに「他者理解と共感」は重要で、「自分の国の文化だけが素晴らしく、他の国はダメ」という極端な考えが生まれないよう、しっかりと学び合うことが大切ですね。

2. 伝統文化を失った世界中の人々を勇気づける

広島の役割について

戦争や政治的弾圧で伝統文化を失ってしまった国はたくさんあります。広島市中心部も戦前までは城下町の風情を残し、歌舞伎や長唄、能楽・謡曲、琵琶、箏曲などが盛んに行われていました。例えば原爆ドーム付近のかつての地名は「猿楽町」といい、猿楽(能楽)師に由来する地名だそうです。また現在の土橋町には芸者衆をかかえた「広島券番」があり、歌舞伎座などの劇場もたくさんありました。
原爆によってすべてが失われた広島で、このような伝統的な文化を大切にし、新たな文化を創造して発信することは、自国の伝統文化を失ってしまった世界中の人たちを勇気づける力になると思います。国際平和文化都市だからこそ果たせる役割ではないでしょうか。

3. 古典芸能は私たち日本人、そして世界の共有財産

共有財産の活用について

日本の芸能史を紐解くと、じつは多くの古典芸能は海外からシルクロードなどを経て伝えられたものです。例えば「雅楽」は古代の中国・朝鮮半島・東南アジア諸国の音楽を再編成したもので、発祥した国々ではすでに滅びてしまった姿を、日本の伝統に姿を変えて伝承しています。
日本の古典芸能を深く知ることは、私たちに日本と諸外国との豊かな文化交流の歴史を教えてくれます。日本の古典芸能は日本人みんなの共有財産、そして世界の共有財産です。
広島に住む私たちは広島ゆかりの古典芸能者を応援することを通じて、私たちの共有財産を深く知り、一緒に楽しめる機会を作っていきましょう。


当サイトの情報が皆さまの判断材料のひとつになれば、この上なく光栄に思います。


2021(令和3)年11月

「ひろしま古典芸能NAVI」案内人

伊藤多喜子